【記入例つき】古物台帳の書き方は?項目ごとの注意点を解説

【記入例つき】古物台帳の書き方は?項目ごとの注意点を解説
古物商許可を取得したあと、実際の営業で必ず使うことになるのが「古物台帳」です。
台帳自体は用意したものの、いざ取引が始まると「特徴の欄はどこまで細かく書けばいいの?」「お客様に職業を聞くのは気が引ける」「書き間違えたら修正液で消していい?」と、手が止まってしまう方は少なくありません。
今回は、実際の記入例を挙げながら、古物台帳の欄ごとの書き方と、間違えやすいポイントを解説します。
1.古物台帳とは?何を書く帳簿なのか

古物台帳は、古物商が古物を買い取ったり売ったりしたときに、その取引内容を1件ずつ記録しておく帳簿です。
盗品が古物市場に流れてしまったときに、警察が流通経路をたどるための手がかりになるもので、古物営業法で記録と保存が義務づけられています。
言いかえると、「あとから第三者が見て、その1件の取引を再現できるか」が書き方の判断基準になります。
①「受入れ」と「払出し」の両方を記録する
古物台帳の欄は、大きく2つに分かれています。
買い取ったり引き取ったりしたときに書くのが「受入れ」欄、売ったり引き渡したりしたときに書くのが「払出し」欄です。
つまり同じ商品でも、仕入れたときと売れたときの2回、台帳に登場することになります。
受入れ欄と払出し欄が別々のシートになっている台帳を使っていると、「どの仕入れがどの販売につながったのか」が後から追いづらくなります。
取引ごとに通し番号や管理番号を振っておき、両方の欄に同じ番号を書いておくと、警察から照会があったときもすぐ答えられます。
ポイント:買ったときと売ったとき、2回書く
②記載する項目は古物営業法で決まっている
何を書くかは古物商が自由に決められるものではなく、古物営業法第16条で5つの事項が定められています。
(帳簿等への記載等)第十六条
古物営業法(e-GOV法令検索より引用)
古物商は、売買若しくは交換のため、又は売買若しくは交換の委託により、古物を受け取り、又は引き渡したときは、その都度、次に掲げる事項を、帳簿若しくは国家公安委員会規則で定めるこれに準ずる書類(以下「帳簿等」という。)に記載をし、又は電磁的方法により記録をしておかなければならない。ただし、前条第二項各号に掲げる場合及び当該記載又は記録の必要のないものとして国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した場合は、この限りでない。
一 取引の年月日
二 古物の品目及び数量
三 古物の特徴
四 相手方(国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した相手方を除く。)の住所、氏名、職業及び年齢
五 前条第一項の規定によりとつた措置の区分(同項第一号及び第四号に掲げる措置にあつては、その区分及び方法)
古物台帳に記載する5つの事項
- 取引の年月日:買い取った日・売った日
- 古物の品目及び数量:古物営業法の13区分と個数
- 古物の特徴:ブランド名・型番・製造番号・色・キズなど
- 相手方の住所、氏名、職業及び年齢:買取のときの相手方の情報
- 本人確認のためにとった措置の区分:何で確認したか
法律上の必須項目はこの5つですが、市販の台帳や当事務所の様式には、これに加えて「代価」(取引金額)の欄が設けられているものがほとんどです。
代価は記帳が免除されるかどうかの判定にも関わる情報なので、欄があるなら必ず埋めておきましょう。
③様式は「別記様式第15号」。手書きでもエクセルでもよい
古物商が使う帳簿の様式は、古物営業法施行規則第17条で「別記様式第15号」と定められています。
ただし同じ条文の第2項で、必要事項を取引順に記載できる様式の書類であれば、これに準ずる書類として認められることになっています。
(帳簿等)第十七条
古物営業法施行規則(e-GOV法令検索より引用)
古物商又は古物市場主が法第十六条又は法第十七条の規定により記載をする帳簿の様式は、それぞれ別記様式第十五号及び別記様式第十六号のとおりとする。
2 法第十六条の国家公安委員会規則で定める帳簿に準ずる書類は、次の各号のいずれかに該当する書類とする。
一 法第十六条又は法第十七条の規定により記載すべき事項を当該営業所又は古物市場における取引の順に記載することができる様式の書類
二 取引伝票その他これに類する書類であって、法第十六条又は法第十七条の規定により記載すべき事項を取引ごとに記載することができる様式のもの
3 古物商又は古物市場主は、法第十六条又は法第十七条の規定により前項第二号に掲げる書類に記載をしたときは、当該書類を当該営業所又は古物市場における取引の順にとじ合わせておかなければならない。
そのため、市販の紙の台帳でも、エクセルで自作した一覧表でも、必要な項目がそろっていれば問題ありません。
実際、パソコンで管理している古物商の方が増えています。
なお、取引伝票のように1取引ごとの書類で管理する場合は、取引の順にとじ合わせておく必要がある点に注意してください(同条第3項)。
台帳そのものの入手方法や、当事務所で用意しているエクセル版のダウンロードについては、下記の記事にまとめています。

2.【記入例つき】古物台帳の書き方

ここからは、中古のスマートフォンを2万円で買い取ったケースを例に、欄ごとの書き方を見ていきます。
上の記入例と見比べながら読んでみてください。
①取引年月日・区別
取引年月日には、実際に古物を受け取った日(買取日)を書きます。
契約した日と商品を受け取った日がずれる場合は、「受け取った日」「引き渡した日」が基準です。
宅配買取のように後日届くケースでは、商品が到着した日を書くことになります。
「区別」の欄には、その取引がどういう性質のものかを書きます。
受入れ欄なら「買受」「委託受」「交換」「下取」など、払出し欄なら「売却」「委託販売」「交換」「返還」などです。
買い取ったのか、預かっただけなのかで意味が変わってきます。
店舗ごとに言葉がばらつかないよう、「買受」「委託受」のように使う言葉を決めて統一しておきましょう。
②品目・数量・代価
品目の欄には、商品名そのものではなく古物営業法で決められている13の区分のどれにあたるかを書きます。
スマートフォンであれば「機械工具類」、ブランドバッグであれば「皮革・ゴム製品類」、腕時計であれば「時計・宝飾品類」といった具合です。
許可申請のときに選んだ「取扱う古物の区分」と同じ区分なので、迷ったら許可証の記載を確認してください。
古物の13区分
- 美術品類/衣類/時計・宝飾品類/自動車/自動二輪車及び原動機付自転車/自転車類/写真機類
- 事務機器類/機械工具類/道具類/皮革・ゴム製品類/書籍/金券類
数量は個数を書きます。
まとめ買いをしたときに「一式」とだけ書いてしまう方がいますが、これでは何点あったのか分かりません。
同じ品目でも1点ずつ特徴が違うので、原則として1点につき1行で書くのが確実です。
代価には、実際に支払った買取金額を書きます。
③古物の特徴
もっとも書き方に迷うのがこの欄です。
判断の基準はひとつで、同じような商品が10点並んでいても、その1点を特定できるかどうかです。
盗難品の照会があったときに、この欄だけを見て「うちが買い取ったあの商品だ」と分かる情報が必要になります。
品目ごとの「特徴」の記載例
- スマートフォン:iPhone 15 Pro/シルバー/256GB/製造番号(IMEI) 123456789876543/背面ガラスに小キズ1か所
- 腕時計:ロレックス/デイトジャスト/型番116234/シリアル番号◯◯◯/文字盤に薄いキズあり
- ブランドバッグ:ルイ・ヴィトン/スピーディ30/モノグラム/シリアル◯◯/持ち手に色移りあり
- ゲームソフト:タイトル名/対応機種/箱・説明書あり/ディスクに小キズ
- 書籍:作品名/著者名/出版社/カバーの有無/書き込みの有無
とくに、スマートフォンのIMEI、パソコンやカメラの製造番号、自転車の防犯登録番号のように、その個体にしかない番号がある商品は必ず記載しましょう。
逆に「スマホ 1台」「バッグ 1個」のような書き方は、記載があっても特徴を書いたことにならないと判断されるおそれがあります。
ポイント:特徴は「その1点を特定できる情報」まで書く
④取引の相手方の住所・氏名・職業・年齢
買取のときは、相手方の住所・氏名・職業・年齢の4つをセットで記載します。
住所と氏名は本人確認書類から転記できますが、職業は運転免許証にもマイナンバーカードにも載っていません。
買取申込書に職業の記入欄を設けておくか、その場で聞き取って書く必要があります。
職業は「会社員」「公務員」「学生」「主婦」「自営業(飲食業)」のように、具体的に書きます。
年齢は生年月日から計算した取引日時点の満年齢を書きましょう。
相手方が法人の場合は、法人の所在地・名称に加えて、実際に来店した担当者の氏名も控えておくと安心です。
ポイント:職業欄の空欄がいちばん多い不備
⑤相手方の真偽を確認するためにとった措置
古物営業法第16条第5号でいう「措置の区分」とは、相手方が本人かどうかを、どの方法で確かめたかということです。
対面での買取であれば「運転免許証の提示を受けた」のように、確認に使った書類の名称まで書きます。
書類の番号(例:福岡県公安委員会 第012345678900号)まで控えておくと、後から照会があったときに確実です。
宅配買取やネット買取のような非対面取引では、身分証の提示を受けるという方法が使えません。
この場合は施行規則第15条第3項に定められた方法(本人限定受取郵便物等の送付、住民票の写しの送付を受ける、本人確認用画像情報の送信を受けるなど)のうち、実際にとった方法を書きます。
「確認済」とだけ書いた台帳では、どの方法をとったのか分からないため不十分です。
3.書き方でよくある疑問と注意点

①書き間違えたときは二重線で訂正する
紙の台帳を書き間違えたときに、修正液や修正テープで消してはいけません。
元の記載が読めなくなると、あとから書き換えたのではないかと疑われてしまいます。
間違えた箇所は二重線を引いて元の文字が読める状態で残し、その近くに正しい内容を書き直しましょう。
エクセルなど電子データで管理している場合も、上書きだけで済ませず、修正日と修正内容が分かる形で残しておくと安心です。
②取引の「その都度」、営業所ごとに記録する
第16条には「その都度」と書かれています。
月末にまとめて1か月分を書く、レシートを溜めておいて後日まとめて入力する、という運用は本来の形ではありません。
また台帳は営業所ごとに備え付けるものなので、営業所が複数あるなら、それぞれの営業所で発生した取引をその営業所の台帳に記録します。
③最終の記載から3年間は保存する
古物台帳は、書いたら終わりではありません。
最後に記載をした日から3年間、営業所に備え付けておく義務があります。
電子データで保存している場合も、営業所ですぐに書面で表示できる状態にしておかなければなりません。
クラウド上にしかデータがなく、立入りのときにその場で出せないという状態は避けましょう。
第十八条
古物営業法(e-GOV法令検索より引用)
古物商又は古物市場主は、前二条の帳簿等を最終の記載をした日から三年間営業所若しくは古物市場に備え付け、又は前二条の電磁的方法による記録を当該記録をした日から三年間営業所若しくは古物市場において直ちに書面に表示することができるようにして保存しておかなければならない。
2 古物商又は古物市場主は、前二条の帳簿等又は電磁的方法による記録をき損し、若しくは亡失し、又はこれらが滅失したときは、直ちに営業所又は古物市場の所在地の所轄警察署長に届け出なければならない。
なお、台帳を紛失したり、データが消えてしまったりしたときは、第18条第2項により直ちに営業所の所在地を管轄する警察署長へ届け出る必要があります。
黙っていると、届出義務違反として別に罰則の対象になります。
ポイント:記載がない・うそを書くと6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
記帳義務に違反した場合の罰則は、古物営業法第33条に定められています。
記載をしなかった場合だけでなく、虚偽の記載をした場合も同じ罰則の対象です。
さらに、営業停止や許可の取消しといった行政処分を受けることもあります。
第三十三条
古物営業法(e-GOV法令検索より引用)
次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
一 第十四条第三項、第十五条第一項、第十八条第一項又は第十九条第三項若しくは第四項の規定に違反した者
二 第十六条又は第十七条の規定に違反して必要な記載若しくは電磁的方法による記録をせず、又は虚偽の記載若しくは電磁的方法による記録をした者
三 第十八条第二項の規定に違反して届出をせず、又は虚偽の届出をした者(以下略)
ちなみに、すべての取引を記帳しなければならないわけではなく、取引金額や古物の種類によっては記帳が免除される場合もあります。
免除される場合の一覧表と、記帳義務を含む防犯三大義務の全体像は、下記の記事にまとめています。
4.まとめ
以上、今回は古物台帳の書き方について解説しました。
書き方に迷ったときは、「後から第三者がこの1行を見て、取引を再現できるか」という基準に戻ってみてください。
特徴を具体的に書く、職業を必ず聞き取る、確認方法を書類名まで書く。
この3つを守るだけで、立入調査で指摘を受けるリスクは大きく減らせます。
古物商許可は簡単に申請できると思いがちなのですが、慣れていないと非常に時間がかかってしまいます。
申請書類の記載内容を間違えていたり、不足書類があったりすると、再度提出が必要です。
ポイント:警察署に最低2回はいく必要がある
その上、提出先は警察署。提出は平日のみ。休日は受け付けてくれません。
さらに、申請と許可証の受領で平日に最低でも2度は警察署へ足を運ばないといけません。
普段の業務を行いつつ、申請書類の作成する時間や警察署に平日に行く時間などなかなか作れないのではないでしょうか?
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