【古物商許可】オンライン申請はできる?結局、警察署に行く必要がある?

【古物商許可】オンライン申請はできる?結局、警察署に行く必要がある?
古物商許可の申請は警察署の窓口へ持ち込むもの、というイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。
ところが令和7年12月15日から、古物商許可の申請はインターネット上の「e-Gov(イーガブ)電子申請」からも行えるようになりました(東京都を除く)。
それなら警察署に行かずに済むのかというと、残念ながらそうではありません。
今回は、古物商許可のオンライン申請が今どこまでできるのか、それでも警察署に行くことになるのはなぜか、そしてどんな方ならオンライン申請を使う価値があるのかを、行政書士が解説します。
結論:オンライン申請はできますが、警察署に行かずに許可は取れません
※この記事は令和8年9月時点の情報をもとに書いています。
1.古物商許可のオンライン申請はできるようになりました

これまで警察関係の手続きの一部は、警察庁が運営する「警察行政手続サイト」からオンラインで行えるようになっていました。
この警察行政手続サイトは令和7年12月15日午後2時をもって閉鎖され、デジタル庁が運営する「e-Gov電子申請」へ引き継がれました。
福岡県警察では、警察行政手続サイトやふくおか電子申請サービスで行っていたものを含め、約600の手続きがオンライン申請の対象になっています。
①古物営業法の手続きも対象になりました
ポイント:許可申請だけでなく変更の届出や返納も対象です
福岡県警察が公表している「オンライン化対象手続一覧」を見ると、古物営業法と古物営業法施行規則に関する手続きが26並んでいます。
新規の許可申請そのものも、はっきりとe-Govの対象手続きとして挙げられています。
一覧上の所管は福岡県警察本部の生活保安課・営業係ですが、実際に書類を出す窓口は営業所を管轄する警察署です。
福岡県警察でe-Govの対象になっている古物営業法の主な手続き
- 古物商・古物市場主の許可申請(新規の申請)
- 許可事項の変更届出(事前届出)(営業所の名称・所在地などを変える前の届出)
- 許可事項の変更届出、許可証の書換申請(変更した後の届出)
- 許可証の亡失届出・再交付申請
- 許可証の返納
- 競り売りの届出・仮設店舗の届出
- 帳簿等の亡失等の届出
※出典:福岡県警察「オンライン化対象手続一覧」(令和8年9月19日取得)
閉鎖された警察行政手続サイトの時代には、福岡県警察のオンライン対象手続きに古物営業法のものは1つも入っていませんでした。
つまり福岡県で古物商許可の申請がオンラインでできるようになったのは、今回のe-Gov移行が初めてということになります。
なお、古物商許可の申請をe-Govで受け付けていないのは、令和8年9月現在、東京都(警視庁)だけです。
警視庁は独自のオンライン申請の窓口を案内しています。
②GビズIDでログインすれば電子署名は不要です
ポイント:マイナンバーカードがなくても申請できます
オンライン申請でつまずきやすいのが、電子証明書(電子署名)の準備です。
古物商許可の申請では、マイナンバーカードによる公的個人認証や商業登記に基づく電子証明書などが使えます。
ただし、GビズIDプライム・GビズIDメンバーでログインする場合は、電子署名そのものが不要とされています。
すでに社会保険や補助金の申請でGビズIDをお持ちの事業者の方は、追加の準備をせずに申請を始められます。
そのほか、e-Govを利用するにはアカウントの取得やブラウザの設定、専用アプリのインストールが必要です。
はじめて使う方は、申請そのものより、この準備に時間がかかることを見込んでおいた方がよいでしょう。
2.オンラインだけでは完結しない3つの理由

ここからが本題です。
e-Govで申請できるようになったとはいえ、古物商許可については、オンラインだけで手続きを終わらせることができません。
理由を順に見ていきます。
①書類の原本を確認するため警察署に行く必要があります
ポイント:住民票などの原本は窓口で確認されます
e-Govの「古物商・古物市場主の許可申請」のページには、申請に係る書面等の原本を確認する必要があるため、申請先の警察本部・警察署まで来訪する必要があると、はっきり案内されています。
申請後に表示される「到達番号」を控えたうえで窓口へ行く、という流れです。
古物商許可の申請では、住民票の写しや、本籍地の市区町村が発行する証明書(いわゆる身分証明書)を添付します。
画像データを送っただけでは原本の確認ができないため、後日その原本を持って窓口へ行くことになります。
添付書類が必要なことは古物営業法に定められており、どの書類が必要かは古物営業法施行規則第1条の3第3項で決められています。
(許可の手続及び許可証)第五条
古物営業法第5条第1項(e-Gov法令検索より引用)
第三条の規定による許可を受けようとする者は、その主たる営業所又は古物市場の所在地を管轄する公安委員会に、次に掲げる事項を記載した許可申請書を提出しなければならない。この場合において、許可申請書には、国家公安委員会規則で定める書類を添付しなければならない。(以下略)
そもそも許可を出すのは公安委員会ですが、申請書は営業所の所在地を管轄する警察署長を経由して提出することが、施行規則に定められています。
警察署が窓口になるのは、運用上の都合ではなく、もともとの決まりだということです。
(許可の申請)第一条の三第2項
古物営業法施行規則第1条の3第2項(e-Gov法令検索より引用)
法第五条第一項の規定により都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)に許可申請書を提出する場合においては、主たる営業所(営業所のない者にあっては、住所又は居所をいう。以下同じ。)又は古物市場の所在地の所轄警察署長を経由して、一通の許可申請書を提出しなければならない。
②手数料19,000円はe-Govでは納められません
ポイント:手数料は警察署の窓口等での支払いになります
古物商許可の申請には19,000円の手数料がかかります。
この点について福岡県警察は「警察署窓口等でのお支払いとなります」と案内しており、少なくともe-Govの画面上で納付を完結させる方法は案内されていません。
手数料を納めるためだけでも、窓口へ行くことになります。
手数料の額は、次の政令で全国共通の標準額が定められ、各都道府県がこれに沿って条例で定めています。
二十八 古物営業法(昭和二十四年法律第百八号)第三条、第五条第二項及び第四項並びに第七条第五項の規定に基づく古物営業の許可に関する事務
地方公共団体の手数料の標準に関する政令 本則の表(二十八の項)(e-Gov法令検索より引用/中欄と下欄は「……」でつないでいます。太字は当事務所によるもの)
1 古物営業法第三条の規定に基づく古物営業の許可の申請に対する審査 …… 一万九千円
2 古物営業法第五条第四項の規定に基づく許可証の再交付 …… 千三百円
3 古物営業法第七条第五項の規定に基づく許可証の書換え …… 千五百円
許可が下りなかった場合でも、この19,000円は審査に対する手数料なので戻ってきません。
③許可証や大量の書類は現物で提出することになります
ポイント:別送する資料は申請日から1週間以内に到達させます
古物商許可の申請は、法人で役員が複数いる場合や営業所が複数ある場合、添付書類が一気に増えます。
このように書面が大量でオンラインでの提出が難しいときは、一部を「別送資料」として郵送または持込みで提出する扱いが用意されています。
手順は次のとおりです。
別送資料を提出するときのルール
- 申請画面:「別送資料あり」にチェックを入れる
- 期限:申請した日から1週間以内に申請先へ到達するように提出する
- 添えるもの:申請後に表示される「到達番号」を添える
- 郵送費:申請者の負担
※出典:e-Gov電子申請「『古物商・古物市場主の許可申請』の電子申請に関するご案内」
また、許可証の書換えを伴う変更の届出や、許可証の返納では、許可証そのものを提出することが施行規則で定められています。
この場合も、許可証を郵送するか窓口へ持って行くことになります。
結局のところ、オンラインで申請しても、原本の確認と手数料の納付のために警察署へ行くことになるというのが令和8年9月時点の実情です。
許可が下りた後は許可証を受け取りに行くことになるため、窓口へ行く回数は通常2回と考えておいてください。
e-Govで新規の許可申請をする場合の流れ
- GビズIDや電子証明書を用意し、e-Govのアカウント・専用アプリを準備する
- 住民票の写しなどの添付書類をそろえ、e-Govから申請する
- 申請後に表示される「到達番号」を控える
- 別送資料がある場合は、1週間以内に届くよう郵送または持込みで提出する
- 書類の原本を持って警察署へ行き、手数料を納付する(1回目)
- 許可が下りたら、警察署で許可証を受け取る(2回目)
3.では、オンライン申請は使う価値があるのか

「行く回数が減らないなら意味がないのでは」と思われるかもしれません。
ただ、手続きの種類によって向き・不向きがはっきり分かれます。
①オンライン申請が向いているケース
ポイント:公的な証明書も許可証も出さない届出と相性が良いです
相性が良いのは、住民票などの原本を添えず、許可証も提出しなくてよい手続きです。
たとえば、取り扱う古物の区分を変える届出や、ホームページのURLの届出がこれにあたります。
URLの届出には、そのURLを使う権限があることを示す疎明資料を添えますが、公的な証明書の原本ではありません。
すでにGビズIDをお持ちの法人や、営業所から警察署が遠い方にとっては、窓口の受付時間を気にせず提出できることが大きな利点になります。
ただし、変更した内容が許可証の記載事項(氏名・住所、法人の名称や代表者など)に及ぶときは、許可証の書換えが必要になります。
書換えには1,500円の手数料がかかり、許可証そのものを提出することになるため、この場合はオンラインだけで終わりません。
なお、変更の届出には法律上の期限があります。
営業所の名称や所在地を変えるときは変更の日の3日前まで、それ以外の変更は変更の日から14日以内(登記事項証明書を添える場合は20日以内)です。
オンラインで出す場合も、この期限は変わりません。
②窓口へ行った方が早いケース
ポイント:はじめての新規申請は窓口の方が早いことが多いです
一方、はじめて古物商許可を取る方の新規申請は、窓口へ持ち込んだ方が早く済むことが多いと考えられます。
いずれにせよ、原本の確認と手数料の納付で窓口へ行くことになるからです。
さらに、申請書の書き方や営業所の使用権限を示す資料など、その場で相談しながら直せるのは窓口ならではの利点です。
e-Govのアカウント作成や専用アプリの準備にかかる手間を考えると、急いでいる方ほど窓口の方が近道になります。
③どちらを選ぶにしても、事前に管轄の警察署へ確認を
ポイント:福岡県警察のサイトの案内は、まだ更新されていません
注意していただきたいのが、福岡県警察の「古物商等の許可申請について」のページには、令和8年9月現在、e-Govの案内が載っていないという点です。
掲載されているのは窓口と郵送の案内で、一部には閉鎖されたはずの警察行政手続サイトへの言及が残ったままになっています。
申請窓口は営業所の所在地を管轄する警察署の防犯係、受付時間は平日の午前9時から午後4時までとされています。
制度としてe-Govから申請できることと、窓口が実際にどう案内しているかは別の話です。
オンラインで申請するかどうかを決める前に、営業所を管轄する警察署の防犯係へ一度ご確認ください。
窓口へ行くタイミングや手数料の納め方、別送資料の送り先まで聞いておくと、二度手間になりません。
なお、申請当日の流れや費用の内訳を詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
4.まとめ
この記事のまとめ
- 申請はできる:令和7年12月15日から、古物商許可の申請はe-Gov電子申請の対象(受け付けていないのは東京都のみ)
- 原本の確認で来署:住民票などの原本を確認するため、申請先の警察署へ行く必要がある
- 手数料19,000円:警察署の窓口等での支払いと案内されており、e-Gov上で納付を終える方法は案内されていない
- 現物が必要なもの:大量の添付書類は「別送資料あり」で1週間以内に提出、許可証の書換え・返納は許可証そのものを提出する
- 迷ったら確認:窓口の案内は署によって異なることがあるため、事前に管轄の警察署へ確認する
オンライン申請ができるようになったことは、これから古物商を始める方にとって前進です。
ただし現時点では、窓口へ行く手間そのものがなくなるわけではありません。
はじめて許可を取る方は、e-Govの準備に時間をかけるより、書類を正確にそろえて一度で受理してもらう方が、結果として早く許可が下りることも少なくありません。
ご自身の場合にどちらが向いているか迷われたときは、管轄の警察署か当事務所へお気軽にご相談ください。
以上、古物商許可のオンライン申請について解説しました。
古物商許可は簡単に申請できると思いがちなのですが、慣れていないと非常に時間がかかってしまいます。
申請書類の記載内容を間違えていたり、不足書類があったりすると、再度提出が必要です。
ポイント:警察署に最低2回はいく必要がある
その上、提出先は警察署。提出は平日のみ。休日は受け付けてくれません。
さらに、申請と許可証の受領で平日に最低でも2度は警察署へ足を運ばないといけません。
普段の業務を行いつつ、申請書類を作成する時間や警察署に平日に行く時間などなかなか作れないのではないでしょうか?
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