中古車販売に古物商許可は必要?自動車商の審査のポイントとは?

古物商許可について解説

中古車販売に古物商許可は必要?自動車商の審査のポイントとは?

1.中古車販売には古物商許可(自動車商)が必要

中古車販売と古物商許可

中古車を仕入れて売る商売を始めるには、古物商許可が必要です。
中古車は、古物営業法でいう「古物」にあたるからです。
中古車を扱う古物商は、一般に「自動車商」と呼ばれています。

①「自動車商」とは

古物商許可を申請するときは、扱う古物の区分(品目)を13の中から選びます。
その一つが「自動車(その部分品を含む。)」で、この区分を扱う古物商が「自動車商」です。
「自動車商」という別の許可があるわけではなく、古物商許可の品目の一つという位置づけです。

(古物の区分)第二条
法第五条第一項第三号の国家公安委員会規則で定める区分は、次のとおりとする。
(中略)
四 自動車(その部分品を含む。)
五 自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品を含む。)
(以下略)

古物営業法施行規則第2条(e-Gov法令検索より引用)

区分のとおり、中古の自動車部品だけを扱う場合も「自動車」の区分になります。
バイクや原付は「自動二輪車及び原動機付自転車」という別の区分なので、扱うなら両方を選びます。

②なぜ中古車に古物商許可が必要なのか

古物営業法では、一度使われた物や、使うために取引された物を「古物」とし、古物を売り買いする営業を「古物営業」としています。

(定義)第二条
この法律において「古物」とは、一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。
2 この法律において「古物営業」とは、次に掲げる営業をいう。
一 古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの
(以下略)

古物営業法第2条(e-Gov法令検索より引用)

中古車は高額で、盗難車が売りさばかれる被害も多いため、自動車商の申請では確認される事項が多くなることがあります。
取引の相手を確認し、記録を残す古物商許可の仕組みは、盗難車の流通を防ぐためのものです。

③許可がいらないケース・いるケース

「古物商許可なしで中古車を売れないか」という相談もよくあります。
ポイントは、売るだけか、仕入れ(買い受け)をするかです。

ケース古物商許可
お客様や業者から中古車を買い取って売る必要
オートオークションで仕入れて売る必要
中古の自動車部品を仕入れて売る必要
お客様に頼まれて、その車を代わりに売る(委託販売)必要
自分や会社で使っていた車を売るだけ不要(売却のみのため)
メーカー・ディーラーから仕入れた新車を売る不要(古物にあたらないため)

ただし、一度でもユーザーの手に渡った車は、走っていなくても古物にあたります。
登録(届出)済みの未使用車を仕入れる場合は、古物にあたるかを事前に警察署へ確認してください。
また、新車の販売でも、お客様の車を下取りするなら、通常は古物商許可が必要です。

業者向けのオートオークション(古物市場)では、古物商どうしでなければ売買できないと法律で決められています。
そのため、オートオークションで仕入れたい場合も、まず古物商許可を取る必要があります。

(営業の制限)第十四条
(中略)
3 古物市場においては、古物商間でなければ古物を売買し、交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けてはならない。

古物営業法第14条(e-Gov法令検索より引用)

許可を受けずに古物営業を行うと、無許可営業として罰則の対象になります。

第三十一条
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
一 第三条の規定に違反して許可を受けないで第二条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営んだ者
(以下略)

古物営業法第31条(e-Gov法令検索より引用)

2.自動車商の申請の流れと審査のポイント

自動車商の審査のポイント

①申請先・手数料・期間

申請先は、営業所の所在地を管轄する警察署(生活安全課など)です。
手数料は19,000円で、申請書の「取り扱う古物の区分」で「自動車」を選びます。
福岡県警察の審査基準では、審査の標準処理期間は40日とされています。

※出典:福岡県警察「審査基準」、福岡県警察「古物商・古物市場主の許可申請」

②中古車を保管する場所

中古車の保管場所

自動車商の申請では、中古車を置いておく場所があるかを確認されることが多いです。
証明する資料として、駐車場の賃貸借契約書や、営業所と駐車場の位置がわかる図面の提出を求められることがあります。

これらは法令で決まった添付書類ではありませんが、警察署によっては提出を求められます。
保管場所は営業所から離れすぎていない方がよく、台数や契約期間などを細かく確認されることもあります。
また、審査の中で営業所の現地確認が行われることがあり、保管場所が確認できないと許可が下りないこともあります。

③管理者の自動車に関する知識・経験

管理者に求められる知識

古物商は、営業所ごとに「管理者」を1人選ぶ必要があります。
自動車を扱う営業所の管理者には、盗難車の改造などを見抜く知識・経験を身に付けさせるよう努めることが、法律で求められています。

(管理者)第十三条
古物商又は古物市場主は、営業所又は古物市場ごとに、当該営業所又は古物市場に係る業務を適正に実施するための責任者として、管理者一人を選任しなければならない。
(中略)
3 古物商又は古物市場主は、管理者に、取り扱う古物が不正品であるかどうかを判断するために必要なものとして国家公安委員会規則で定める知識、技術又は経験を得させるよう努めなければならない。

古物営業法第13条(e-Gov法令検索より引用)

(管理者に得させる知識等)第十四条
法第十三条第三項の国家公安委員会規則で定める知識、技術又は経験は、自動車、自動二輪車又は原動機付自転車を取り扱う営業所又は古物市場の管理者については、不正品の疑いがある自動車、自動二輪車又は原動機付自転車の車体、車台番号打刻部分等における改造等の有無並びに改造等がある場合にはその態様及び程度を判定するために必要とされる知識、技術又は経験であって、当該知識、技術又は経験を必要とする古物営業の業務に三年以上従事した者が通常有し、一般社団法人又は一般財団法人その他の団体が行う講習の受講その他の方法により得ることができるものとする。

古物営業法施行規則第14条(e-Gov法令検索より引用)

ポイント:3年の実務経験は「目安」で必須ではない

目安は「古物営業の業務に3年以上従事した人が通常持っている知識」ですが、これは努力義務なので、3年の経験がなければ申請できないわけではありません。
申請のときに、管理者に自動車の知識があるかを口頭で聞かれることはありますが、経験を証明する書類までは求められないのが一般的です。
自動車関係の経歴があれば有利にはなるので、講習の受講なども考えておくとよいでしょう。

④事前に警察署へ相談しておく

自動車商の審査は、警察署によって確認する内容が変わることがあります。
申請の前に、営業所を管轄する警察署へ電話で相談しておくと、追加の書類を求められて二度手間になるのを防げます。

3.許可を取った後に守ること

許可後に守ること

古物商は、中古車を買い取るときに相手の本人確認を行い、取引の内容を台帳に記録しなければなりません。
自動車は、1万円以上の取引なら、売ったときも取引日・品目・特徴などの記録が必要です。
ただし、自動車本体を売った場合は、買主の住所・氏名・職業・年齢までは記録しなくてかまいません。

どんな取引で本人確認と記録が必要になるかは、下記の記事の一覧表で確認できます。

詳細はこちらから

4.中古車販売で古物商許可のほかに必要になる許可・登録

ほかに必要な許可・登録

中古車販売を続けていると、廃車の引取りや整備を頼まれることがあります。
これらは古物商許可では行えず、別の登録・許可が必要です。

やりたいこと必要な手続き窓口更新
廃車(使用済自動車)を引き取る引取業者の登録県の保健福祉環境事務所(福岡市・北九州市・久留米市は各市)5年ごと
廃車からカーエアコンのフロン類を回収するフロン類回収業者の登録同上5年ごと
廃車を解体する・部品を取る解体業の許可同上(福岡県は事前に県の廃棄物対策課へ相談)5年ごと
分解整備などの特定整備をする自動車特定整備事業の認証運輸支局(地方運輸局長)なし

①廃車を引き取るなら「引取業者の登録」

引取業者の登録

中古車として価値がある車を買い取るなら古物商許可ですが、廃車(使用済自動車)を引き取るには、自動車リサイクル法の引取業者の登録が必要です。
お客様から「ついでに古い車を引き取ってほしい」と頼まれることは多いので、古物商許可と一緒に取っておくと安心です。

(引取業者の登録)第四十二条
引取業を行おうとする者は、当該業を行おうとする事業所の所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。
2 前項の登録は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。
(以下略)

使用済自動車の再資源化等に関する法律第42条(e-Gov法令検索より引用)

条文では「都道府県知事」となっていますが、保健所を設置する市では市長が登録を行います(同法第19条)。
福岡県内の窓口は、事業所を管轄する保健福祉環境事務所です(福岡市・北九州市・久留米市は各市)。

②フロン類を回収するなら「フロン類回収業者の登録」

フロン類回収業者の登録

廃車のカーエアコンには、フロン類が入っていることがあります。
このフロン類を回収する場合は、フロン類回収業者の登録が必要です。

(フロン類回収業者の登録)第五十三条
フロン類回収業を行おうとする者は、当該業を行おうとする事業所の所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。
2 前項の登録は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。
(以下略)

使用済自動車の再資源化等に関する法律第53条(e-Gov法令検索より引用)

③解体するなら「解体業の許可」

解体業の許可

廃車を解体したり、部品を取り外したりする場合は、解体業の許可が必要です。
タイヤ・バッテリー・燃料などを適切に回収できる設備や作業の基準があり、登録より要件が厳しくなります。
福岡県では、申請の前に県の廃棄物対策課へ相談する流れになっています。

(解体業の許可)第六十条
解体業を行おうとする者は、当該業を行おうとする事業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 前項の許可は、五年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。
(以下略)

使用済自動車の再資源化等に関する法律第60条(e-Gov法令検索より引用)

④整備もするなら「自動車特定整備事業の認証」

エンジンやブレーキなどを取り外して行う分解整備や、自動ブレーキのカメラ・レーダーの調整(電子制御装置整備)などの「特定整備」を事業として行う場合は、地方運輸局長の認証が必要です。
窓口は管轄の運輸支局の整備部門です。販売した車の整備まで自社で行いたい場合は、あわせて確認しておきましょう。

(認証)第七十八条
自動車特定整備事業を経営しようとする者は、自動車特定整備事業の種類及び特定整備を行う事業場ごとに、地方運輸局長の認証を受けなければならない。
(以下略)

道路運送車両法第78条(e-Gov法令検索より引用)

ポイント:古物商許可には更新がないが、ほかの登録は更新が必要

古物商許可には更新の制度がありませんが、引取業・フロン類回収業の登録と解体業の許可は、5年ごとの更新が必要です。
取得した日を記録して、更新を忘れないようにしましょう。

5.まとめ

中古車を仕入れて売るなら、古物商許可の「自動車」の区分(自動車商)が必要です。
自動車商は保管場所や管理者の知識を確認されることが多いので、事前に警察署へ相談しておくと安心です。
廃車の引取りや解体、整備まで行う場合は、別の登録・許可も必要になります。

以上、中古車販売に必要な古物商許可(自動車商)と、ほかに必要な許可・登録について解説しました。

古物商許可は簡単に申請できると思いがちなのですが、慣れていないと非常に時間がかかってしまいます。
申請書類の記載内容を間違えていたり、不足書類があったりすると、再度提出が必要です。

ポイント:警察署に最低2回はいく必要がある

その上、提出先は警察署。提出は平日のみ。休日は受け付けてくれません。
さらに、申請と許可証の受領で平日に最低でも2度は警察署へ足を運ばないといけません。
普段の業務を行いつつ、申請書類を作成する時間や警察署に平日に行く時間などなかなか作れないのではないでしょうか?
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