古物商許可に更新はある?有効期限と取り直しが必要なケースを解説

古物商許可に更新はある?有効期限と取り直しが必要なケースを解説
古物商許可を取得したあと、「そういえば更新はいつなのだろう」と気になった方は多いのではないでしょうか。
建設業許可や宅地建物取引業免許のように、5年ごとの更新が必要な許認可は少なくありません。
結論からお伝えすると、古物商許可に更新の手続きはなく、有効期限もありません。
ただし、更新がないからといって取得後に何もしなくてよいわけではありません。
この記事では、古物商許可に更新がない理由と、更新がなくても許可を取り直すことになるケース、そして許可を維持するために続けて必要になる手続きを、古物営業法の条文とあわせて解説します。
1.古物商許可に「更新」はありません

①古物営業法に更新の規定はありません
古物商許可は、古物営業法第3条にもとづいて都道府県公安委員会が出す許可です。
この法律には、許可の有効期間や更新の手続きを定めた条文が一つもありません。
そのため、一度許可を受ければ期限が切れることはなく、更新の申請書も更新手数料も発生しません。
(許可)第三条
古物営業法(e-GOV法令検索より引用)
前条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営もうとする者は、都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。
ポイント:一度取得すれば有効期限はありません
交付される古物商許可証にも、有効期限は記載されていません。
運転免許証や車検証のように「次はいつまで」という日付が入っていないのは、そもそも期限という考え方がないためです。
②「更新がある」と勘違いされやすい理由
許認可には有効期間が決まっているものが多く、古物商許可もそうだろうと思われがちです。
実際、古物商と関わりの深い次の許認可は、いずれも5年ごとの更新が必要です。
5年ごとの更新が必要な主な許認可
- 建設業許可:5年ごとに更新申請が必要
- 宅地建物取引業免許:5年ごとに更新申請が必要
- 産業廃棄物収集運搬業許可:5年ごとに更新申請が必要
ポイント:更新があるのは古物商許可以外の許認可です
中古車販売のように複数の許認可を組み合わせる業種では、古物商許可には更新がなくても、ほかの登録の更新期限は管理しなければなりません。
「古物商許可に更新はないから大丈夫」と考えていると、引取業やフロン回収業者の登録を失効させてしまうことがあるので注意してください。
③許可証の「書換え」や「再交付」は更新ではありません
ポイント:書換え・再交付は期限とは無関係の手続きです
氏名や住所が変わったときの書換え、許可証をなくしたときの再交付を「更新」と呼ぶ方がいますが、これらはまったく別の手続きです。
書換えは、許可証の記載内容を実態に合わせるための手続きで、期限が来たから行うものではありません。
2.更新がなくても許可を取り直すことになるケース

更新がないということは、裏を返せば「今の許可がそのまま使えるかどうか」を自分で判断しなければならないということです。
次の3つは、更新ではなく新規申請からやり直すことになる代表的なケースです。
①個人で取った許可は法人では使えません
個人事業主として取得した古物商許可は、その個人に与えられたものです。
法人成りして会社として古物営業を続ける場合は、法人としてあらためて新規申請をしなければなりません。
個人の許可を法人へ引き継ぐ手続きは古物営業法に用意されていないため、変更届で済ませることはできません。
ポイント:法人成りは変更届ではなく新規申請です
法人の許可が下りるまでは、会社名義で古物の取引をすることができません。
審査には一定の期間がかかりますので、法人化の予定があるなら会社設立のスケジュールと合わせて早めに準備を進めてください。
②相続で引き継ぐことはできません
古物営業法には、許可を相続人が承継できるという規定がありません。
許可を受けていた方が亡くなった場合は、同居の親族または法定代理人が遅滞なく許可証を返納しなければならないと定められています。
(許可証の返納等)第八条第三項
古物営業法(e-GOV法令検索より引用)
許可証の交付を受けた者が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなつたときは、当該各号に定める者は、遅滞なく、許可証をその主たる営業所又は古物市場の所在地を管轄する公安委員会に返納しなければならない。
一 死亡した場合 同居の親族又は法定代理人
二 法人が合併により消滅した場合 合併後存続し、又は合併により設立された法人の代表者
ポイント:家業を継ぐ場合も相続人名義で新規申請します
親が営んでいた古物商を引き継ぐ場合でも、相続人がご自身の名前で申請し直す必要があります。
店舗や在庫は引き継げても、許可そのものは引き継げないとお考えください。
③取り消されると5年間は再取得できません
法令違反などを理由に許可を取り消されると、取消しの日から5年間は古物商許可を受けられません。
これは古物営業法第4条の欠格事由に定められており、法人の場合は取消しに係る聴聞が公示された日の前60日以内に役員だった方も同じ扱いになります。
(許可の基準)第四条
古物営業法(e-GOV法令検索より引用)
公安委員会は、前条の規定による許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、許可をしてはならない。
六 第二十四条第一項の規定によりその古物営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者(許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前六十日以内に当該法人の役員であつた者で当該取消しの日から起算して五年を経過しないものを含む。)(以下略)
3.更新がない代わりに続けて必要になる手続き

①申請内容が変わったら変更届を出します
氏名・住所・営業所・管理者・取り扱う古物の区分などに変更があったときは、公安委員会への届出が必要です。
更新のように何年かに一度まとめて出すものではなく、変更が起きるたびに、そのつど期限内に出すという点が大きな違いです。
古物商許可の届出期限
- 営業所の名称・所在地の変更:変更する日の3日前まで(事前の届出)
- 氏名・住所・管理者・古物の区分などの変更:変更の日から14日以内
- 登記事項証明書を添付する場合:変更の日から20日以内
- 古物営業を廃止したとき:事由が発生した日から10日以内に許可証を返納
ポイント:届出を怠ると10万円以下の罰金です
変更届を出さなかった場合や、廃止したのに許可証を返納しなかった場合には、10万円以下の罰金が定められています。
更新がないぶん、こうした細かい届出の積み重ねで許可を維持しているとお考えください。
第三十五条
古物営業法(e-GOV法令検索より引用)
次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一 第七条第一項、第二項若しくは第四項若しくは第十条の二第二項の規定に違反して届出書若しくは添付書類を提出せず、又は第七条第一項、第二項若しくは第四項若しくは第十条の二第二項の届出書若しくは添付書類に虚偽の記載をして提出した者
二 第八条第一項、第十一条第一項若しくは第二項又は第十二条の規定に違反した者(以下略)
②廃業したら10日以内に許可証を返納します
古物営業をやめたときは、許可証を返納しなければなりません。
返納の期限は事由が発生した日から10日以内で、返納理由書(別記様式第9号)を添えて、営業所の所在地を管轄する警察署を経由して提出します。
許可証を返納すると、その時点で許可は効力を失います。
(許可証の返納)第七条
古物営業法施行規則(e-GOV法令検索より引用)
法第八条第一項又は第三項の規定による許可証の返納は、当該事由の発生の日から十日以内に、主たる営業所又は古物市場の所在地の所轄警察署長を経由してしなければならない。この場合においては、当該許可証とともに別記様式第九号の返納理由書を提出しなければならない。
③6か月以上営業しないと取消しの対象になります
更新がない代わりに気をつけたいのが、営業の実態がない状態を続けることです。
許可を受けてから6か月以内に営業を開始しない場合や、6か月以上営業を休止している場合は、許可を取り消されることがあります。
(許可の取消し)第六条
古物営業法(e-GOV法令検索より引用)
公安委員会は、第三条の規定による許可を受けた者について、次に掲げるいずれかの事実が判明したときは、その許可を取り消すことができる。
一 偽りその他不正の手段により許可を受けたこと。
二 第四条各号(第十号を除く。)に掲げる者のいずれかに該当していること。
三 許可を受けてから六月以内に営業を開始せず、又は引き続き六月以上営業を休止し、現に営業を営んでいないこと。
ポイント:とりあえず取っておくと取消しの理由になります
「いつか使うかもしれないから先に取っておこう」という取得の仕方は、6か月ルールに引っかかるおそれがあります。
取得のタイミングは、実際に古物の取引を始める時期から逆算して決めるのが安心です。
変更届の具体的な書き方や、取消しになるケースの詳細は、それぞれ次の記事で解説しています。
4.まとめ
古物商許可には更新も有効期限もなく、一度取得すればそのまま使い続けられます。
ただし、法人成りや相続では許可を引き継げず、新規申請が必要です。
また、変更届や許可証の返納といった手続きを怠ると罰則の対象になり、6か月以上営業しない状態が続けば取消しの対象にもなります。
以上、古物商許可に更新はあるのか、有効期限と取り直しが必要になるケースについて解説しました。
古物商許可は簡単に申請できると思いがちなのですが、慣れていないと非常に時間がかかってしまいます。
申請書類の記載内容を間違えていたり、不足書類があったりすると、再度提出が必要です。
ポイント:警察署に最低2回はいく必要がある
その上、提出先は警察署。提出は平日のみ。休日は受け付けてくれません。
さらに、申請と許可証の受領で平日に最低でも2度は警察署へ足を運ばないといけません。
普段の業務を行いつつ、申請書類の作成する時間や警察署に平日に行く時間などなかなか作れないのではないでしょうか?
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