古物商許可の申請中に仕入れ・買取はできる?許可が下りる前にやってよいこと一覧

古物商許可の申請中に仕入れ・買取はできる?
許可が下りる前にやってよいこと一覧
古物商許可の申請書を警察署に出したあと、許可が下りるまでの標準的な期間は40日とされています(福岡県警察の場合。あくまで目安で、前後することがあります)。
「オープンの日は決まっているのに、その間は何もできないの?」
「申請はもう受理されたのだから、少しくらい買取を始めてもいいのでは?」
こうしたご相談を当事務所でもよくお受けします。
今回は、古物商許可の申請中(許可が下りる前)に進めてよいこと・やってはいけないことを、古物営業法の条文をもとに行政書士が整理します。
結論:開業準備は進めてOK、中古品の仕入れ・買取は許可が下りてから
※この記事は令和8年9月時点の法令をもとに書いています。
1.申請中は、まだ「許可を受けていない」状態です

①申請が受理されても営業は始められない
ポイント:営業できるのは許可を受けてから
古物営業法は、中古品を仕入れて売る営業を始めようとする人に、公安委員会の許可を受けるよう求めています。
(許可)第三条
古物営業法第3条(e-Gov法令検索より引用)
前条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営もうとする者は、都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。
ここでいう「許可を受けた」とは、審査が終わって許可が出た状態のことです。
警察署で申請書が受理されたのは、審査が始まったというだけで、許可が出たわけではありません。
許可が出ると警察署から連絡があり、窓口で許可証を受け取ります。
許可証を受け取るまでは、中古品の買取を始めないようにしましょう。
②申請中に買取をすると「無許可営業」になる
ポイント:3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
許可が下りる前に古物営業を始めてしまうと、「すでに申請しているから」という理由があっても無許可営業として罰則の対象になります。
第三十一条
古物営業法第31条(e-Gov法令検索より引用)
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
一 第三条の規定に違反して許可を受けないで第二条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営んだ者
(二号以下略)
さらに、この罪で罰金刑が確定すると、刑の執行が終わってから5年間は古物商許可を受けられなくなります(古物営業法第4条第2号)。
あと少し待てば許可が下りたはずなのに、5年間も許可を受けられなくなってしまいます。
早く始めて得られるものより、失うもののほうがはるかに大きいといえます。
また、申請をしても必ず許可が下りるとは限りません。
許可が下りなければ、先に仕入れた中古品は在庫として抱えたままになってしまいます。
申請の手数料(福岡県は19,000円)も、許可されなかった場合に一般に返ってくるものではありません。
仕入れは許可が下りてから始めるのが安全です。
2.申請中にやってよいこと・やってはいけないこと

では、許可が下りるまでの約40日は何もできないのかというと、そうではありません。
古物営業法が規制しているのは、中古品を仕入れて(買い受けて・交換して)売る営業です。
開業に向けた準備は、申請中でも進めて問題ありません。
①申請中にできること・できないことの一覧表
ポイント:許可が必要なのは「仕入れる側」
| 内容 | 申請中 | 理由 |
|---|---|---|
| 店舗の内装・設備・レジなどの準備 | ○ | 古物の取引ではないため |
| メーカー・卸売業者から新品を仕入れる | ○ | メーカー・卸から仕入れる新品は古物に当たらないため(個人から買う未使用品は除く→②) |
| 自分が使っていた物(不用品)を売る | ○ | 売るだけの営業は古物営業から除かれているため |
| 仕入れ先・取引先との打合せ・見積り | ○ | 中古品の実際の買受け(契約・支払い・受取り)は許可後に |
| 古物台帳・本人確認の手順の準備 | ○ | 取引そのものではないため(許可後すぐ記録を始められる) |
| ホームページの制作(買取の受付はしない) | ○ | URLの扱いは下の③を参照 |
| お客様から中古品を買い取る・下取りする | × | 古物営業そのもの(無許可営業) |
| 中古品を預かって代わりに売る(委託販売) | × | 委託を受けて売買する営業も古物営業 |
| フリマアプリ・オークション・リサイクルショップで転売用に仕入れる | × | 転売目的で中古品を買い受ける=古物営業 |
| ホームページ・SNSで買取の申込みを受け付ける | × | 許可前に買取営業を始めたことになる |
売るだけの営業は古物営業から除かれていますが、中古品を買い受ける(仕入れる)ことが含まれた時点で許可が必要になります。
「売るのは許可が下りてからにして、仕入れだけ先にしておこう」という考え方が最も危ないのは、このためです。
②「新品」でも古物になる場合がある
ポイント:一度お店から消費者に渡った物は古物
メーカーや卸売業者から仕入れる新品は古物ではないので、申請中でも仕入れることができます。
ただし、古物営業法の「古物」には、使っていない物でも含まれるものがあります。
(定義)第二条
古物営業法第2条第1項(e-Gov法令検索より引用)
この法律において「古物」とは、一度使用された物品(中略)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。
(第二項以下略)
「使用されない物品で使用のために取引されたもの」とは、一度消費者が使うために買った物のことです。
たとえば、一般の方が買ったまま使わずにいた未開封品や、個人がフリマアプリに出している「新品・未使用」の商品は、多くの場合、使っていなくても古物に当たります。
「新品だから申請中でも大丈夫」と思って個人から買い取ると、無許可営業になってしまうので注意が必要です。
③ホームページで取引するならURLを申請書に書く
ポイント:URLは申請書の記載事項。ドメインは申請前に取得
ホームページやネットショップで古物を取引する予定がある場合、そのURLは許可申請書に書く事項になっています(古物営業法第5条第1項第6号)。
(許可の手続及び許可証)第五条
古物営業法第5条第1項(e-Gov法令検索より引用)
第三条の規定による許可を受けようとする者は、その主たる営業所又は古物市場の所在地を管轄する公安委員会に、次に掲げる事項を記載した許可申請書を提出しなければならない。(中略)
六 第二条第二項第一号に掲げる営業を営もうとする者にあつては、その営業の方法として、取り扱う古物に関する事項を電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(中略)により公衆の閲覧に供し、その取引の申込みを国家公安委員会規則で定める通信手段により受ける方法を用いるかどうかの別に応じ、当該古物に関する事項に係る自動公衆送信の送信元を識別するための文字、番号、記号その他の符号又はこれに該当しない旨
(以下略)
ネットで買取や販売をするつもりなら、申請前にドメイン(URL)を取得しておく必要があります。
申請書には、そのURLを使う権限があることが分かる資料(ドメインの登録情報を印刷したものなど)も添付します。
ホームページの制作自体は申請中に進めてかまいませんが、許可が下りるまでは買取の申込みフォームなどは公開しないでおきます。
申請中にURLが決まった・変わった場合は申請先の警察署へ連絡し、許可後に追加・変更したときは変更の届出(変更の日から14日以内)が必要です。
3.許可証を受け取ったらすぐにやること

①標識の掲示とホームページへの表示
ポイント:営業所には標識、ホームページには許可番号
許可が下りたら、営業所ごとに、お客様から見やすい場所へ古物商の標識を掲げなければなりません(古物営業法第12条第1項)。
また、ホームページで古物の取引の申込みを受ける場合は、事業の規模にかかわらず、自社のホームページに氏名または名称・許可をした公安委員会の名称・許可証の番号を表示しなければなりません。取り扱う古物の情報とあわせて表示します(同条第2項・第3項)。
ホームページで取引をしない場合でも、常時使用する従業者が6人以上で自社のホームページを持っているときは、氏名等の表示が必要です(古物営業法施行規則第13条の2)。
(標識の掲示等)第十二条
古物営業法第12条(e-Gov法令検索より引用)
古物商又は古物市場主は、それぞれ営業所若しくは仮設店舗又は古物市場ごとに、公衆の見やすい場所に、国家公安委員会規則で定める様式の標識を掲示しなければならない。
2 古物商又は古物市場主は、その事業の規模が著しく小さい場合その他の国家公安委員会規則で定める場合(その者が特定古物商である場合を除く。)を除き、国家公安委員会規則で定めるところにより、その氏名又は名称、許可をした公安委員会の名称及び許可証の番号(次項において「氏名等」という。)を電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供しなければならない。
3 特定古物商は、前項の規定により氏名等を公衆の閲覧に供するときは、氏名等と共に、その取り扱う古物に関する事項を公衆の閲覧に供しなければならない。
標識は許可証の番号が決まってからでないと作れないため、申請中はデザインを考えておく程度にとどめ、許可が下りたらすぐ用意できるよう準備しておくと安心です。
②許可から6か月以内に営業を始める
ポイント:営業を始めないと許可を取り消されることがある
許可が下りたあと、開業準備が長引いて営業を始められないと、今度は別の問題が出てきます。
古物営業法では、許可を受けてから6か月以内に営業を始めないと、許可を取り消されることがあると定められています。
(許可の取消し)第六条
古物営業法第6条第1項(e-Gov法令検索より引用)
公安委員会は、第三条の規定による許可を受けた者について、次に掲げるいずれかの事実が判明したときは、その許可を取り消すことができる。(中略)
三 許可を受けてから六月以内に営業を開始せず、又は引き続き六月以上営業を休止し、現に営業を営んでいないこと。
(第二項以下略)
「とりあえず許可だけ先に取っておこう」と早く申請しすぎると、この6か月の期限に追われることになります。
開業日から逆算して、許可が下りてから無理なく営業を始められる時期に申請するのが理想です。
標識の書き方や、いつ申請を始めればよいかを詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
4.まとめ
この記事のまとめ
- 申請中はまだ無許可:申請書が受理されただけでは古物営業は始められない。許可証を受け取ってから始めるのが安全
- 申請中の買取は無許可営業:3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。罰金刑が確定すると5年間は許可を受けられなくなる
- 準備は進めてOK:店舗の準備、メーカー・卸からの新品仕入れ、自分の不用品の販売、古物台帳の準備などは申請中でもできる
- 仕入れる側に許可が必要:フリマアプリなどで転売用に中古品を仕入れるのは許可が下りてから。未使用品でも一度消費者に渡った物は古物
- 許可が下りたら:標識の掲示・ホームページへの表示をして、許可から6か月以内に営業を始める(始めないと取り消されることがある)
許可が下りるまでの約40日は、ただ待つだけの期間ではなく、開業準備をまとめて進められる期間です。
ただし「どこまでが準備で、どこからが営業か」の線引きを間違えると、取り返しのつかないことになりかねません。
判断に迷うことがあれば、申請先の警察署か当事務所へ事前にご相談ください。
以上、古物商許可の申請中(許可が下りる前)にできること・できないことについて解説しました。
古物商許可は簡単に申請できると思いがちなのですが、慣れていないと非常に時間がかかってしまいます。
申請書類の記載内容を間違えていたり、不足書類があったりすると、再度提出が必要です。
ポイント:警察署に最低2回はいく必要がある
その上、提出先は警察署。提出は平日のみ。休日は受け付けてくれません。
さらに、申請と許可証の受領で平日に最低でも2度は警察署へ足を運ばないといけません。
普段の業務を行いつつ、申請書類を作成する時間や警察署に平日に行く時間などなかなか作れないのではないでしょうか?
そんな面倒な古物商許可の申請は
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